「BCTに寄せる有識者の言葉(新刊本などに掲載)」
平成22年4月16日 日本BCT/YCT事務局 セリングビジョン株式会社
今般の「BCTパーフェクトトレーニング」の出版に伴い、
日本経団連国際協力本部 主幹 青山周 先生
もと三井物産 中国ビジネス30年 小林修 先生
当社社長 北京語言大学商務顧問 岡部秀也
の三名のビジネス中国語、BCT評価・普及に関する挨拶文を 掲載いたします。
日中ビジネスのスタッフの皆様や中国語の教育者、学習者にとってビジネスや語学学習のご参考になれば幸いです。
「中国語での首脳外交」―その答えがBCT
鳩山総理の外交デビューは国連。スタンフォード大学で学位をとった鳩山総理は地球温暖化などについて英語でスピーチをした。各国の代表から日本の総理が拍手を受ける姿はかっこいい。スピーチの中身も斬新だし、第1に英語でスピーチなんてスマートだ。日本の「カオ」として世界に日本の立場を鮮明にアピール。テレビのバラエティ番組としてはイメージアップ間違いなし、といったところだ。
でも、これって、どこか古くない?
アジア重視を打ち出して登場した民主党政権。鳩山総理は国連出席に続いて2009 年10 月9日には韓国、10 日には北京で行われた日中韓首脳会議に出席した。こちらも世界の注目が集まった。でも、鳩山総理が中国語とかハングル語で自分の考えを語ってくれたなら、アジア重視も口先のものではないと尊敬の念は一気に高まったはずだ。
21 世紀に入り、中国の経済成長は目覚ましい。2003 年以降、5年連続の二桁成長を遂げた。国際金融危機の影響で、2008 年は9.6%と若干ペースダウンしたものの、世界で最も高い成長を続けている。巨額の貿易黒字を抱え、外貨準備高も2兆ドルを超える。中国は世界1のカネ余り国となった。「世界の工場」であるだけでなく、「世界の市場」に発展したのだ。となれば、グローバル企業に限らず、急成長する新たな市場をめざして、世界のビジネスマンは中国に殺到する。
工場でモノを作るだけなら、中国語を話す必要はなかった。中国語のできる日本人や日本語のできる中国人が仲介役を務めてくれたからだ。しかし、中国でモノを売るには中国の市場の動きを瞬時に見極める能力が求められる。中国語という武器がなければ盲目となる。
今を去る150 年前。多くの若者が日本の将来を切り開こうと努力した結果、回天維新を実現した。崩れゆく幕府や藩にしがみつく武士官僚があまたいる中で、既存の組織を抜け出た坂本竜馬らは海から日本を救おうと、海援隊を結成、国際感覚と航海術を身につけ、世界という視野に立って縦横無尽の活躍を遂げた。
今の若手官僚や大手町の一流企業の若手のほとんどは未だにハーバードやオクスフォードを目指す。これにはタカトシでなくとも叫び声は「欧米か?!」
今を生きる坂本竜馬は航海術でなく中国語を学ぶはずだ。新興の中国には将来の世界を動かす様々な可能性や夢がつまっているからだ。
「中国語のできない総理なんて」と言われる時代がもうすぐやってくる。それに先駆けて中国語で仕事ができる技を身につけなければ、世界に通用するサムライにはなれない。
では何をなすべきか。
その答えがBCTだ。
青山 周
日本経団連国際協力本部主幹
(慶応大学経済学部卒業後に経団連事務局入局。88 年〜 90 年、中国上海の復旦大学留学。地球環境・エネルギーグループ長やアジアグループ長等を歴任)
中国ビジネススタッフにBCTは登竜門
BCT試験は、中国市場向けのビジネスを目指す人のための試験である。さまざまなビジネスシーンでの実用会話や交渉、時事中国語、時には契約書に関する問題が出題される。伝統的な中国ビジネスは、これまで、仲介者である貿易商社を通じて行われてきた。しかし中国の経済発展に伴い、中国の流通経路の多様化が急速に進んでおり、富裕層向けに日本から高級な商品やサービスを直接提供できる流通形態も始まった。ポスト世界金融危機の最有力マーケットとして、中国に対する期待感は高まっている。既に、中国に進出済みの製造業のみならず、これから中国市場を狙うさまざまな業種も、一様に中国市場の特徴や販売ルート、或いは、数年後に消費の中心となる、「80後」や「90後」と呼ばれる若者のライフスタイルや考え方を知ろうと必死である。
ここで重要なのが、各分野の産業政策である。その基盤となるのが「社会主義市場経済」である。簡単にいえば、「市場」に対して、役に立つ物やサービスを提供できる企業が正当な利潤を獲得するチャンスを政府が保証してくれる制度と言える。これは1991年末から1992年初めにかけて当時の国家最高権力者であったケ小平氏が、中国各地を回って話した「南巡講話」を起点とし、その後、さらに各種の法律によりその方向は明確になった。
当時、ケ小平氏はこの政策は2050年までは変わらないと断言し、それは「発展是硬道理」という簡素な言葉で表現され今に至っている。中国は歴史的に原理原則の国であり、この「国のかたち」、すなわち「社会主義市場経済」の政策は、あと40年間は変わらないということである。非常にわかりやすいのである。
ということで、過去10年間、中国はアメリカ、そして欧州、日本向けの加工貿易にひたすら励んだ。結果として高い経済発展を維持してきたのである。そして今後は、同様の考えで自国内の新たな富裕層市場に対しても、ビジネスしようとする企業や人たちが儲かるようにさまざまなインセンティブや投資環境整備を行い、また産業政策をうちだしている。
私は、日本を代表する総合商社で、チャイナビジネスの最前線で活躍した経験に加え、これまでの何度かの中国ビジネスブームを考慮してみた。そして、今回始まったばかりの新しいブームの中で、中国語を学ぶ皆さんに対して、下記の3点をアドバイスしたい。
1) | 「市場で売れる物やサービスを知るには、中国語による経済情報や企業情報、市場情報を直接的に収集し分析する能力がますます必要とされる時代となる。
| 2) | 中国語による経済情報収集コストはどんどん下がってきている。語学力さえ身につければ総合商社の情報収集力以上のことが個人でも可能になっている
| 3) | そのためには、翻訳、通訳能力は劣っても、中国語による生の情報から経済変化や将来のビジネスチャンスをつかむ能力のある人材が必要とされる。
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この条件を満足できる人材は現在でも、各産業分野では数えるほどしかいない。産業の複合化と高度化により、引く手あまたとなることは確実である。社会人のみならず、学生の皆さんには、BCTを勉強することによりこの実力をぜひとも身につけてほしいと期待している。
小林 修 (三井物産出身。同社を含め30年間、中国ビジネスを展開)
BCT「パーフェクトトレーニング」出版のご挨拶
日中経済ビジネス交流は急拡大しています。
私も北京と上海を中心に福岡経由で東京まで出張する機会が多くなってきました。中国語の検定など教育分野ばかりか環境、省エネルギーなどビジネスコンサルティングの案件も3年前より倍増しています。日本国内でも知識人やビジネス富裕層など来日する中国人と会う機会も数年前より3倍ほどになっております。
読者の皆さまも留学や観光なども含め中国に行かれ中国人と話し意見交換する機会も多いでしょう。中国巨大マーケットをめぐり中国人が重要顧客になるなかで両国間の貿易拡大は増加し中国出張し、あるいは駐在する機会も格段に多くなっております。この中で学生の就職活動や社会人の「知的武器」としてBCTビジネス中国語試験が有利な資格としてなりつつあります。BCTが英語のTOEICや英検並みに取得資格の常識として位置付けられるようになれば日本もアジアゲートウエイの真のグローバル国家とみなされるのではないでしょうか。
日中人財がイコールパートナーとして相互交流を緊密にするために必要なことは、日本語を的確に話せる中国人財の数と、中国語をよく話せる日本人財の数がバランスしていることだと考えられます。しかし残念ながら、この分野では中国人財は日本人財の20 倍はいるのが実感です。その意味でも中国人に日本語を話してもらいダメなら英語で会話すれば足りるという従来の日本の語学教育システムは明らかに時代錯誤ではないでしょうか。日本人の中国語学習不足は深刻です。企業経営者の多くはこの大きな問題に気づきつつあります。
しかし発想を変えればピンチはチャンスに切り替えられます。日本人のグローバル化の教育的モノサシとしてBCTを目指し、人財輩出の好機とすればいいのではないでしょうか。
今の日本経済の閉塞感を打ち破るために、語学に強い女性の中国進出起業家も目立ってきています。大企業も若手幹部を養成するため中国の大学留学や駐在派遣も増えつつあります。
日本企業は決断が遅く歯がゆいと指摘されますが必要性を感じて決断し、動き出したら早いです。BCTが中国ビジネスを進める日本の企業経営者や起業家のパスポートになる時期は遠くないかも知れません。その背中を後押しするBCT教材として活用していただければ幸いです。
最後に本書の翻訳出版に関し多大なご支援をいただいた中国・対外経済貿易大学董瑾学院長ならびに、中国教育部・高等教育出版社の劉援副社長を始め、中国と日本の関係機関、関係者に厚くお礼申し上げます。
BCTの教育関係者や受験者の皆さまが本書により一層の中国語能力向上と日中ビジネス発展につながることを切に祈っております。
日本BCT・YCT事務局
セリングビジョン株式会社
取締役社長 岡部秀也
(世界漢語教学会員、北京語言大学商務顧問)
以 上
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