理事長のご挨拶
インバウンド時代は中国語教育で人財投資を!!
〜英語&中国語&日本語のトリリンガルで日本教育再生、稼ぐ貿易経済力、インバウンド内需力を〜
2024年1月1日
日本BCT/YCT事務局代表
セリングビジョン株式会社代表取締役
岡部秀也
新年明けましておめでとうございます。
本年は新型コロナウイルスパンデミックが昨年に緩和され、インバウンド本格再来の年となろう。
過去3年間は人と人との対面交流の機会は失われ、海外への渡航や海外からのお客様の往来も激減していましたが、昨年後半からオンライン教育やテレワークの機会が減り、対面交流が増えてきました。都心の海外からのビジネススタッフや観光地での外国人観光客は数倍に激増しています。
確かに依然としてコロナ株の変異や他の感染症も心配されますが、海外との往来が進み、航空、鉄道等の交通インフラの利用も増え、ホテル、飲食業界もエンタテインメント、スポーツ観戦者も一層急増する予感がします。将来的には英語、中国語と日本語が国内でも響き渡るものと考えられます。
また米国、中国との経済ビジネス競争、デジタライゼーション化、IoTプラットフォーム化等の国際間競合も激しく、各国ともに経済産業とICTの業際の融合も一層進むでしょう。さらにウクライナへのロシア侵攻、ガザ地区での戦争への影響が資源、食糧難に及び中央アジア、中東情勢、東南アジア情勢の不安定化、EUや英国の情勢など、日本をめぐる国際地政学的なリスクも高まり、ますます TPP 、RCEPを含め国際的な関係を改善するパワーが求められます。
恒例ですが下記項目別に、改めて英語、中国語教育に絡み日本の語学教育やビジネス競争力の問題点や論点を挙げつつ、具体的ご提案をしたいと思います。 日本全体のグローバルな国際ビジネス関係や語学教育では、残念ながら、日本沈没が進むばかりで数年来全く悪化し、進歩がありません。失われた30年が放置され続いていると言っても過言ではないでしょ う。
日本はインバウンドを契機に巣籠化から脱却してアジアでの経済拡大と平和、文化の発展に寄与してほしいものです。
<8つの問題、論点>
論点1.中国人インバウンド旅行者への「おもてなし」で中国語が話せないと恥ずかしい?
論点2.過った英語オンリー教育で、日本は食べていける?
論点3.日中関係は、政治的に改善しつつあるが、民間ビジネス、草の根的交流での互恵関係から?
論点4.一億総活躍社会、成長戦略、働き方改革の岸田政権の政策のカギは?
論点5.日本経済を担うアジアビジネス成功に向け中国語に必死の先見企業に期待?
論点6.日本が負けたシンガポール等との差は中国語等のコミュニケーションパワー?
論点7.基礎研究開発力が低迷する日本は躍進する米国・中国とどう付き合うか?
論点8.日本BCT・YCT事務局のグローバル人財養成で何ができる?
<8つの論点への対応すべき考え方>
1.中国人インバウンド爆買いへの「おもてなし」で中国語が話せないと恥ずかしい
人口 14 億に迫る隣国・中国には日本企業は、日本経団連会員企業をはじめ約 2 万 5 千社もが進出している。また日本の伝統文化、自然の景観、食文化などへの関心から、中国からの訪日顧客は、2019 年度は、年間累計 1000 万人とも言われる。(2020〜22年度はコロナで激減したが2023年は回復) かつて世界全体の来日顧客 3000 万人の 5 割が中国語圏(中国,台湾,香港)と言われ、日本への中国語圏留学生も、海外諸国からの訪日留学生の半数くらいいる。 中国人の来日数は、日本では圧倒的な存在感であった。 Post コロナ時代には、遅かれ早かれ景気回復でリッチな中国人関係者が 2000 万人近く全国各地を回り、ホテルは満杯、民泊・タクシーも規制緩和して顧客をおもてなししなければならないかも知れない。人気の 富士山周辺、九州のクルーズ船観光、北海道の自然探索、京都奈良旅行、黒部立山ルートなどでは、中国団体ツアーをよく見かけてきたが、今後は、全国各地隅々の自然・環境・エンタテインメント箇所に中国人は押し寄せる可能性がある。 まさに岸田政権の新資本主義経済政策でも疲弊し尽くした地方創生の起爆剤になる可能性があり、Post コロナ時代には地域の経済連合会、貿易会、商工会とも、こうした企業の課題を真剣に再び考えるようになってくるのではないだろうか。 企業の大小に関わらず、収益を得るためにも、また当たり前の顧客対応をするために、全企業、全自治体はビジネス中国語のレッスンは一層、重要である。
2.過った英語オンリー教育では、日本は食べていけない
この意味で小学校から、半ば強制的な英語オンリーの文部科学省政策は、日本が長期的 に稼ぐ実態と異なり、やりすぎである。明治維新から、日本の成長を遂げてきたドイツ語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語などの多言語教育を明らかに軽視して、安易な教育を 展開しているからだ。 若手の 10 代は、英語しか学んでいないことを前提にすると、新入社員から、首長、社長まで、自治体も企業も中国語を勉強することを企業内研修として、学ばせることが必要不可欠である。 とくに、日中両国はビジネスでも草の根的にも密着しており、政治的安定が図られれば、観光人気の北海道から福岡・長崎で地方創生のカギになるために、中国語くらいを「総一億人活躍社会」として、学習しないと、お話にならない事態に直面している。 新年も、コロナ対策をしつつ卯年にちなみ各地を日中友好関係に向け飛躍して、BCT・YCT の中国語検定と研修をする当事務局・学院も地域活性化に微力ながら一層貢献していきたい。
3.日中関係は、政治は置いて、民間ビジネス、草の根的交流での互恵関係から
世界全体にとっても、米国に次ぐ GDP 世界第二位に躍進した中国と三位の日本は、その役割や影響力と責任は一段と大きい。しかし世界を分断する政治的緊張関係もあり関係国間でのトップ同士の戦略合意も遅れ気味である。朝鮮半島の軍事的危機も収まらずむしろ深まっている。バイデン政権となり米国中心の自国第一主義の呪縛が解かれ、国同士あるいは企業同士でのコミュニケーションの機会が増えつつある。中国は、この 20 年間で、国際先端技術が集まる世界のインフラ供給工場となり、グローバルな研究開発、国際カンファレンス、 金融も担おうと着実に進めてきた。 不動産バブルの崩壊の兆しや経済成長率の鈍化も懸念されるが、GDP、所得拡大につれ中国は世界の消費市場へと変貌を遂げている。
一方で、遅ればせながらも懸案の環境問題・格差社会・汚職問題や高齢化介護社会、過剰設備解消への対策に向けてもトップダウンで規制強化により成果を出してきた。老朽化石炭火力の根絶や、ガソリン車から電気自動車へのシフトそして世界に先駆けて安全な原子力小型炉の開発導入は好例である。 確かに中国は構造的に政治外交面では時代や状況により友好・安定ばかりか、厳しい対外的緊張・軋轢が懸念される面もある。しかし、長期的、大局的には、民間ビジネスや草の根的 な文化教育交流を通じて、日中間の日本語、英語、中国語でのコミュニケーションが緊密化し会合の機会を増やせば、現実的な国際協調路線を走っていくものと確信している。
4.一億総活躍社会、「キシダノミクス政策」のカギ
岸田ノミクス新資本主義では、がんばる企業の国際競争力をつける企業活性化への施策を展開してほしい。 中国人で、日本語ができる人は 2000 万人ほどいるだろう。これに対し、中国語ができる日本人は、二千分の一の一万人はいないだろう。これまで、中国語で意志疎通のできる中国通スタッフ教育を、軽視してきたツケが出てきている。自公政権も文部科学省、経済産業省、財務省と協議して英語オンリーだけの画一教育・予算方針から、中国語などマルチ言語の必要性を「成長戦略」に組み込むべきである。盤石な自公保守政権ならば成し遂げるべき成長政策である。 日本は、明治維新から続く「欧米諸国追い越せ路線」から、近年の「欧米市場プラス中国など アジア市場重視路線」のバランスが非常に重要になっている。米国はじめ欧米首脳も、日本が上手く中国と付き合い、両国の緊張関係を緩和しつつ英語・日本語・中国語で交渉してソフトランディングできるかを期待しているだろう。 そのためには、コミュニケーション能力として、日本語に次ぎ英語を主体にしつつも、中国語を加えて「語学三矢」(日本語、英語、中国語)をきちっと、社会人も学生も老若男女もやってみることが、本当の日本での「インバウンドや国際イベントへのおもてなし」グローバル人材の育成につながるだろう。
5.日本経済を担うアジアビジネス分野成功に向け中国語に取り組む先見企業に期待
中国などアジア各国が必要な日本の再生可能エネルギー、原子力リサイクルの脱炭素、気候温暖化防止技術、環境・省エネルギー技術や新幹線、発電所、送配電設備を含むスマートグリッド、通信エネルギー融合のシステム技術、安全・安心なガス水道設備などのインフラ技術の輸出もアジア市場でビッグビジネスといつかなっていくだろう。@中国への先行進出企業;商社、流通、自動車、精密、電機、鉄鋼、重機、航空、造船A近年進出業界;通信、銀行、保険、不動産、建設、医療薬品ばかりか、B新規進出インフラ公益事業者;電力、ガス、鉄道、水道、自治体の内需インフラ公益事業まで裾野は広い。 三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、みずほ銀行、三井住友銀行、東京三菱UFJ銀行、 野村証券、大和証券、富士火災、住友生命、コマツ、NTTデータ、NEC、富士通、KDDI、SoftBank、パナソニック、キヤノン、トヨタ、新日鉄住金、JFE、住友化学、日立、三菱重工、東 芝、三菱化学、ソルクシーズ、ファーストリテイリング、イオングループ、Jフロントリテイリン グ、高島屋、三越、伊勢丹など大手企業だけでなく多くの企業で新入社員や中国駐在員に日中ビジネス交渉のため中国語を勉強させるようになりつつある。公益的内需企業の、鉄道、 バス、タクシー、電力業界、石油・ガス業界でも中国語を取り組む立派な企業も出てきた。ぜひ、次世代のリーダーは英語と中国語を必修条件にすべきである。 また、各大学は不況下で学生の就職率向上に真剣な対策を講じているが「中国語など多言語教育を軽視」せず、海外向け人材教育も視野に入れてほしい。 英語は当たり前だが、中国語が流暢に話せる学生は極めて少ないだけに、中国語資格や中国の大学留学経験は就職にモノをいうと商社や輸出産業、電機メーカーの人材開発部長は 話している。 日本経団連の会長経験者の御手洗毅キャノン会長は、中国ビジネスに積極的でコミュニケー ション力向上にもリーダーシップを発揮された。 また尊敬する故米倉弘昌氏(住友化学工業会長 )も、日本人財育成の鍵として中国アジア市場等を念頭に「海外で渡り合うには、異文化を受け入れ、自分の信念を堂々と主張できる語 学力が必要だ」と述べておられた。 名誉会長の榊原定征氏(元東レ会長、現関西電力会長)も、「大学はもっと国際化すべきだ。海外の留学生受け入れ 比率も少なすぎだ」とはっぱをかけてきた。
日本経団連(十倉雅和会長)は日中国交正常化50周年交流促進のため記念シンポジウムを中国の駐日大使館と共催で開催し、新たな日中関係の構築を図り、「今や日中関係は我が国にとって最も重要な二国間関係の一つとなっている。日中の政治・外交関係は必ずしも安定的とは言えない状況にある。このような時であるからこそ両国は各界・各層による交流、とりわけ政治・外交面での対話と意思疎通に意を用いなければならない」と語る。国の教育政策は時代遅れで単細胞のように英語オンリーだが、経済界は中国語教育にも熱心で、日中の各界での交流に腐心し両国の意思疎通に前向きである。
6.日本が負けたシンガポール等との差は中国語等のコミュニケーションパワー
日本は、2021年の国別の一人当たり名目国内総生産(GDP)は経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中19位に落ちし世界で 27 位に急降下している。 <IMF発表>
国別の国民一人当たりの経済的豊かさが、中位となってしまった。日本のデータは3万9301ドルで米国6万9千ドル、ドイツ5万1千ドルなどと比べ低く、英国の下になっている。東アジアでは、日本はシンガポール7万2千ドル、香港4万9千ドルにも抜かれている。エネルギー資源が90%海外依存で、 原子力などの純国際エネルギー資源がストップして、貿易赤字の構造は変わらない。このままでは、ますますエネルギー収支赤字と社会インフラ老朽化もあいまった経済後進国になることは明らかである。 アジア新興国市場には欧米の多国籍企業をはじめシンガポール・韓国・台湾企業など日本企業のライバルが多い。 とくに金融や貿易の成功で成長を続けるシンガポールは、英語・中国語の能力はアジアでトップである。 こうしたアジア企業ばかりか多国籍企業やノーベル賞輩出の欧米有名大学(シカゴ、スタン フォード、ハーバード、MIT、カリフォルニア、オックスフォード、ケンブリッジ等)は、中国語教育に力を入れていると聞く。 こうして経済ビジネスで日中関係の絆が深まるにつれて、高校・大学などの教育界も先見性のあるチャレンジングな教育機関(BCT・YCT にも注目)は中国語を教えはじめ出した。 高校は全国 600 校で中国語を初歩の初歩を習い始め、大学では英語に次ぐ第二外国語で中国語を学ぶ学生も少なくないが、ほとんどの学生は学習時間が不足しレベルが極めて低い。 日本の中国語学習意欲は低く、シンガポール、台湾、韓国の真剣さには到底及ばない。私は北京語言大学商務顧問となって長年になるが、アジアの中で日本の語学能力の低さは恥ずかしい限りだ。
7.基礎研究開発力が低迷する日本は躍進する米国・中国とどう付き合うか
文科省の科学技術・学術政策研究所の科学技術指標 2022 が発表された。大学などの論文数の質と量が国の未来の経済ビジネス力をほぼ決定するから重要である。
2022年度版(2018-2020年の全分野)の結果は、日本は国別の論文数と世界でのシェアは6位でドイツ、インド、英国の次に6万9100本、4.0%に過ぎなかった。
これに対し中国、米国は日本の5?6倍。
中国 43万1700本、24.9%
米国 30万200本、17.3%
注目される質の高い論文数も中国は世界一に躍り出た。
しかも国策とはいえ中国は、ビジネスの発展性がある医療バイオ、半導体(IoT向け)、電池(EV、電力インフラ向け)、新材料(ロボット向け)など先端技術の研究に集中投資している。科学技術の世界は、米国と日本の学者や研究者がノーベル賞を数多く取ってきたが、今後は米国や日本で留学し「英語、日本語を勉強してきた中国人研究者」が数多く取得するだろう。研究や国際会議でも、今後日本は、中国語圏の学者や研究者とどうコミュニケーションをとるのだろうか?これは明らかに日常生活では中国語の必要性が高まることは必至である。当事務局の中国語学院でも、自治体(長野県など)、企業の技術者や大学の先生(東京大学工学部教授など)も参加していただいてきた。 今後の有能な若い世代には、企業も自治体も大学も中国語の学習への補助金を出して、グローバル人財を育成する時代ではないか。
8.日本BCT・YCT事務局も懸案の日本再生、地域再生に貢献します!!
コロナで世界全体の交流は激減して人と人の面談や訪問交流は三年間で激減した。しかし、コロナ政策の緩和と相まって、海外との往来は急増するだろう。ゼロコロナ政策からようやく現実的な政策転換を図った中国の経済復興は目覚ましくなろう。米中の貿易規制や制限はやむを得ないところがあろうが、グローバル化とデジタル化の波はなかなか止まらない。その波に乗った中国、30 年間も波に遅れた日本。 中国の国内生産は、今後、数年間で3倍に差が開こう。
とはいえ、日本には中間層が厚く世論の社会的な分断はほぼないし日本の企業業績は低成長ながら続いているという優位点をいかすべきときだ。日本の平和で暮らしやすさや安全性は世界的にも際立っているから世界からも信頼されたり、仲介役としてのメディエーターの役割が求められるだろう。日本復権にはまずは、こうした特異な強みを生かすためにも、不得手なコミュニケーション能力、とくに英語と中国語をぜひ目標として、当社中国語学院で学び、BCT・YCTの成績でシンガポール、韓 国、アメリカに追いついてほしいものだ。それが、日本のグローバル化と他国との差別化による失われた30年の汚名挽回の早道である。
<結論と提案>
コロナで世界全体の交流は激減して人と人の面談や訪問交流はいったんは減った。しかし、ワクチン接種なども広まり、海外との往来、インバウンドは急増しつつある。ゼロコロナ政策を転換した中国の経済復興は進むだろう。米中の貿易摩擦や世界各国での軋轢が進む中でもグローバル化とデジタル化の波はなかなか止まらない。その波に乗った中国、30 年間も波に遅れた日本。 少子高齢化で生産性が低く資源が乏しい日本と中国との国内生産のギャップは広がるだろう。
ただし日本には中間層が厚く世論の社会的な分断はほぼないし日本の企業業績は低成長ながら続いているという優位点をいかすべきときだ。日本の平和で暮らしやすさや安全性は世界的にも際立っているから世界からも信頼されたり、仲介役としてのメディエーターの役割が求められるだろう。日本復権にはまずは、こうした特異な強みを生かすためにも、不得手なコミュニケーション能力、とくに英語と中国語をぜひ目標として、当社中国語学院で学び、BCT・YCTの成績でシンガポール、韓 国、アメリカに追いついてほしいものだ。それが、日本のグローバル化と他国との差別化であり、失われた「30年」を取り戻す道である。
語学院で学び、BCT・YCTの成績でシンガポール、韓 国、アメリカに追いついてほしいものだ。それが、日本のグローバル化と他国との差別化、東 京五輪、大阪万博成功の早道である。
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