理事長のご挨拶
新BCT、YCTを通じ日中文化交流、経済ビジネス再興、グローバル人材育成を 〜経済拡大と文化交流は日中関係改善の両輪〜
2013年元旦
日本BCT/YCT事務局代表
セリングビジョン株式会社代表取締役
岡部秀也
13億以上の世界一の人口を有する中国は米国に次ぐGDP世界第二位に躍進し、世界における日中両国の役割や影響力は一層大きくなっている。
昨年は、米国、ロシア、韓国と同じく中国も新しいリーダーが生まれ、日本でも安倍新政権が誕生し、アジアを経済発展の要とする世界は、ますます日中の新たな「戦略的互恵関係」の行方を注目している。
中国は、この10年間で、国際先端技術が集まる世界の供給工場となり、さらに世界の消費市場へと変貌を遂げた。日本の進出企業も駐在員もきわめて多い。米国がリーマンショック、金融破綻後、世界のリーダー役を果たしにくくなり、日本がグローバルな構造変化に追いつけず失われた10年を過ごしたことと対照的である。巨龍中国は2008年北京五輪、2010年上海万博を成功させ、人口と経済規模では新興国の首位に躍進した。
一方では、確かに中国は政治外交面では時代や状況により友好・安定ばかりか、昨年のような厳しい対外的緊張・軋轢も懸念される面もあるが、長期的、大局的には、民間ビジネスや草の根的な文化教育交流を通じて、日中間のコミュニケーションが緊密化していけば、現実的な国際協調路線を走っていくものと確信している。
安倍新政権は、「三矢の訓え」に則り、前政権のデフレ縮小経済路線から脱却し、財政・金融・成長の拡大・緩和路線に転換した。今年は、日本で経済ビジネスのグローバル化や不況脱出・成長が進むと期待したい。
その中で、「日中ビジネスでの三矢」とは何だろうか?たぶん、金融投資、生産貿易、観光交流ではないか。しかし、この推進には、日本はコミュニケーション能力が圧倒的に不足している。英語は今やできて当たり前となったが、中国語ができなければ、中国との仕事は発展しないし、相互の信頼関係は生まれないだろう。中国人で、日本語ができる人は1000万人ほどいるだろう。これに対し、中国語ができる日本人は、千分の一の一万人はいないだろう。このため、中国語で意志疎通のできるスタッフ教育は文部科学省や経済産業省でも大きな政策課題になるだろう。
日本は、明治維新から続く「欧米諸国追い越せ路線」から、近年の「欧米市場プラス中国などアジア市場重視路線」に上手く中国と付き合い、両国の緊張関係を緩和しつつ中国語で交渉してソフトランディングできるかが試されている。アジア市場で日本がどんな役割を担い、どんな貢献ができるかに私たちの未来がかかっているのではないだろうか。
そのためには、コミュニケーション能力として、日本語に次ぎ英語を主体にしつつも、中国語を加えて「語学三矢」(日本語、英語、中国語)をきちっと、社会人も学生も老若男女もやってみることが、本当の日本でのグローバル人材の育成につながるだろう。
中国などアジア各国が必要な日本の環境・省エネルギー技術や新幹線、発電所、送配電設備を含むスマートグリッド、通信エネルギー融合のシステム技術、安全・安心なガス水道設備などのインフラ技術の輸出もアジア市場でビッグビジネスとなろう。
1.中国への先行進出企業;商社、流通、自動車、精密、電機、鉄鋼、重機、航空、造船から
2.近年進出業界;通信、銀行、保険、不動産、建設、医療薬品ばかりか、
3.新規進出インフラ公益事業者;電力、ガス、鉄道、水道、自治体の内需インフラ公益事業まで裾野は広い。
こうして経済ビジネスで日中関係の絆が深まるにつれて、高校・大学などの教育界も先見性のある教育機関は中国語を重視しつつある。高校は全国600校で中国語を習い始め、大学では英語に次ぐ第二外国語で中国語を学ぶ学生は半分に達している。
三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、みずほコーポレート、コマツ、NTTデータ、NEC、富士通、パナソニック、キヤノン、トヨタ、新日鉄、東芝、日立、三菱重工など大手企業だけでなく多くの企業で新入社員や中国駐在員に日中ビジネス交渉のため中国語を勉強させるようになりつつある。ぜひ、次世代のリーダーは英語と中国語を必修条件にしてほしいものだ。
また、各大学は不況下で学生の就職率向上に真剣な対策を講じているが海外向け人材教育も視野に入れつつある。英語は当たり前だが、中国語が流暢に話せる学生は極めて少ないだけに、中国語資格や中国の大学留学経験は就職にモノをいうと商社や電機メーカー人材開発部長は話している。
日本経団連の御手洗毅前会長(キャノン会長)は、中国ビジネスに積極的でコミュニケーション力向上にもリーダーシップを発揮された。現在の米倉弘昌会長(住友化学工業会長 )も、日本人材育成の鍵として中国アジア市場等を念頭に「海外で渡り合うには、異文化を受け入れ、自分の信念を堂々と主張できる語学力が必要だ」と述べておられる。
世界共通の標準中国語資格BCT・YCTを目指し取得することは、英語のTOEIC並みの取得効果が出てくるだろう。
中国語を少しでも聞き取り話せることは今や、日本企業、自治体が中国ビジネスや訪日中国人対応に失敗しない鍵であり、大学が淘汰されず生き残る道であり、学生が志望企業に採用される鍵となろう。
アジア新興国市場には欧米の多国籍企業をはじめ韓国企業など日本企業のライバルが多い。韓国企業ばかりか多国籍企業や欧米有名大学(カリフォルニア、シカゴ、スタンフォード、ハーバード、MIT、オックスフォード、ケンブリッジ等)は、BCT/YCTに注目し始め中国語検定の標準にしつつあると聞く。
日本経済が長い不況から抜け出すために、アジア市場で勝つことが必須であるが、そのためには、韓国や欧米諸国に負けない中国語会話力が最低限、必要である。
日本BCT/YCT事務局は、試験導入後、今年は7年目にあたるが、中国政府(教育部国家漢弁)や北京大学、対外経済貿易大学との協議を重ね、今年から昨年までの難しいビジネス中国語検定BCTから、誰でも受けやすい新BCTを日本事務局として実施していく。ビジネス以外の日常生活の中国語力は29歳まで受験できる青少年向けYCTを目指していくことを推奨したい。
今年も、中国ビジネス交流に極めて強い東京(東日本漢語教師協会等)、アジアゲートウエイの九州周辺(西日本中国語協会。五星奨)や、日中文化交流が進む大阪、名古屋、東北仙台ばかりか、新たに北海道、北陸、四国エリアまで受験や留学の機会を増やして、日本の再生に少しでも寄与していきたい。
日本BCT/YCT事務局は引き続き、中国語の本番である中国国家漢弁や中国大使館の支持を得て中国語教育支援を通じ受験生をサポートし、円滑な試験運営と教育ミッションを果たしていくことにしている。日中両政府、関係省庁、経済界、教育学会を始め関係者の皆様方の一層のご指導ご支援を賜れば幸いである。
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